お正月から⑦

3階を見上げた。黄色い光がありました。クルマをアパートの駐車場に入れた。今まで見知らぬクルマが置いてある。HONDAのRVでした。白くて。真新しい。買ったばかりのようでした。里菜が居ると思うと。喜んだ。だって。群馬県藤岡市から埼玉県川越市まで。時速100キロで1時間半余り走ってきたばかりでした。その日はもう暗かった。風も強く。冬の寒さが厳しそう。こんなところに5年間も娘を置いてきぼりにしてしまったことを後悔した。もっと早く居場所を見つけて連れ帰えればよかった。また。ひとり暮らしをさせなければよかった。自責の念に苛まされた。里菜!!パパだよ!とこころの中で叫んだ。それでも。彼が部屋に来てくれたからまだ救われた。里菜が好きで来てくれただけでも嬉しい。


娘の里菜は痩せた。それが心配の元。また。服装がベージュ色から黒色に変わった。また。じっと黙っていたり。辛いのを我慢しているのが分かった。その時は。彼も居なかったのだろう。また。今年のお正月でした。彼がクルマで藤岡市まで送ってくれたらしい。その話を聞いた時は喜んだ。また。彼は大丈夫かなと思った。里菜はお爺さんに会いにきた。そして集合写真を見せたらしい。そこには里菜や友達や彼が写っていたらしい。それはいいけど。彼が居ることは。夏頃知った。どこで知り合ったのかわからない。そこが一番心配でした。また。里菜を介護施設に行かせたのを後悔したりした。介護施設は問題がある。そんな。辛い職場を選ばせてしまって。ほんとうに申し訳ないと思った。里菜は。正直言って。気持ちが優しい。裏表が無い。竹を割ったよう。サッパリとした性格でした。それが。辛い職場のせいか。徐々に。はっきりとした性格に変わった。ハキハキではなく。なんか。苦労し過ぎたせいか。恨み節風な性格が出てきた。これはまずいと思った。こんなに苦労しなくても。藤岡市でのんびりと勉強したりしていてくれた方が嬉しい。なんの勉強だっていい。そんなところに行って苦労したって意味が無い。と思った。


アパートのドアを開けたら。部屋は暖房が付いていて温かい。しあわせの空気があり。里菜が嬉しげでした。それが一番嬉しい。里菜がまた。子どもに戻った。里菜が明るい子どもになった。里菜の顔から辛さが消えた。里菜が有頂天絶好調になっていた。Dr.スランプあられちゃんの眼鏡をかけていた。それはそれは嬉しそうで良かった。彼が部屋に来てくれたから。たぶん想像ですが。お正月に群馬まで送ってきてから。二人で伊香保温泉でも行ったような気がする。何故かというと。娘は温泉が大好きだから。群馬県藤岡市から近い温泉だから。彼がクルマで一緒に行ってくれたのだろう。だから尚更。嬉しげになっていたと思う。僕がアパートのドアを開けたら。慶ちゃんがきた!!と驚いていた!!なんで鍵を閉めない!と言って。内側の戸を固く閉ざした。
僕は娘の里菜に言った。結婚してもいいよ!!そして階段を降りた。僕のように65歳になるような。見た目の悪い老人が彼に会ったら。彼が嫌な気持ちになり。別れたりしたら大変だから。だって僕は頭はボーズだし。顔は長年のシミや皮膚の汚れできたない。だから娘は彼にはあわせてくれないらしい。それはそれで良い。だからそっと。川越市から藤岡市にクルマで戻りました。帰りは。確かその日も。日帰りの川越温泉に寄る。そして。東松山インターチェンジから関越自動車道に乗った。ちょっとだけ節約になるから。そしたらそんなに変わらないので。300円ぐらい。そんなら川越インターチェンジから乗ればよかったとか。つまらないことを考えた。だから日帰りの川越温泉は川越インターチェンジの降りたところから駅や市街地に向かって2キロほどのところにあります。お暇な方はぜひ一度お試しください。まさかまさか。こんなところに温泉♨️というところにあります。だって目を向けるとマンションが林立している。川越駅は。歩いても1キロほど。でも川越駅西口方面はむかしからあんまり再開してなかった。僕はむかしながらディスカウントショップロジャースがあることに。感慨無量となった。ここで50年前にSONYの大型ラジカセを買ったから。それもやっとアルバイトして買った。そんなアルバイトしなくても勉強して学校の先生にでもなればよかったのに。娘と僕は同じことをしていると思った。