橋爪さんの思い出

 

橋爪さんの年齢は、書きません。独身女性ですからね。自信に溢れてさえいえる。支えているのは、ネパール出身のパロタウラサロズさんやそのほかのレストランサービスの人達かも。出身地は、大阪府。24歳の頃。人生のどん底を味わう。拒食症で、食べることができない。食事をまったく受け付けなくなる。家族に病院に行くように言われる。生きていくために、口からではなく、点滴で栄養補給。現在は、リゾート派遣で、あちらこちらを回っていると言う。その頃に比べれば今の方が、ずっといい。不幸とか幸福とかは、一度どん底を味わっているのでそこを尺度にすれば、今は、それほどではないわ。なんだって人間は、生きられるものよ。その時に死んでいたかもしれなかったので。草津温泉箱根小涌園を周期的に回っていると言う。派遣会社は、頼まない。社会保険が面倒くさいから。正確には、直接雇用のアルバイト社員からまた直接雇用のアルバイト社員をしているの。こういう仕事を続けていると仲の良い友達が出来て、その友達に来ないかと言われたの。だから安心だわ。此処でやっと彼女が会社を辞める事が分かる。6月になると、またいつものように。今回は、伊豆方面の和風温泉旅館へ行くと言う。箱根には、行かないという。箱根から小田原市までのバスに乗ると車酔いするですよ。

此処で僕は、箱根駅伝往路の下りの道路が、急に目に浮かぶ。確かに箱根の山からバスで降りてくれば、誰でも車酔いするかもしれない。それに、6月は、結婚式が多くて嫌だけれどもそれも仕方がない。和食は、苦手。正社員には、ならない。本人曰く、正社員というのは、仕事に責任を持つ事。または、正社員は、トップを目指すもの。わたしは、そんなものはない。だから私は派遣のままでいる。正社員と短期派遣社員は、同じではない。正社員は、自分に厳しくなる必要がある。しかし短期派遣社員にそれを要求するのは、おかしいという。だから18歳で高校卒業したばかりでも正社員なのに挨拶をまったくしない子は、目に付くという。僕もその子をよく知っているので、レストランサービスには、向かなげだという。もっさりしている子です。草津温泉は、良いところ。自然がたくさんあって。でも買い物が不便。伊豆なら電車に乗ればすぐに小田原市まで行ける。草津温泉は、東京まで4時間もかかる。でも東京に住むのは、絶対に嫌だ。東京には、人と人との繋がりがないから。リゾート派遣の良いところは、知らない人との出会いを楽しみにしているの。いろいろなところを回っていると良い人とそうでない人が、すぐに分かる。草津温泉は、ほんとうに良いところだわ。だけれども此処で彼女は、両手の手のひらを前に出して説明する。此処も良いけれど、この次を期待するの。また移動することで、今よりか少しだけでも期待の持てるところがあるならば、此処に長く居ることは、ない。そこに良い事がある可能性が少しでもあるのならそちらに行く。職を転々とすることが怖くないかと言えば怖いけれども。とりあえずは、いったん大阪の実家に帰ってから。終わり。