お正月から⑩

 

 

 

里菜は頭が悪い。それでも高校を卒業してから専門学校に通った。その頃は。僕自身がどん底でした。サラリーマンの55歳過ぎなど。仕事もない。警備員したり。草津温泉で下働きをしていた。娘の奨学金もやっと借りた。その借金もありました。だから

何もしてやれなかった。その数年前に僕は藤岡市議会議員選挙に出た。その時当選していたら。もっと変わっていた。その時はガッカリした。また。なんとか家族を立て直しも出来た。その頃から徐々に家庭が悪くなった。それでも娘は頑張っていた。専門学校も卒業した。そして就職の時でした。僕は何にもお手伝いが出来なかった。それは申し訳なく思っている。それでも。里菜は就職が出来た。その時は。こんなものか?
と思った。ちょっとだけ安易に考えていた。これがあとあと。尾を引いた。娘は。埼玉県ふじみ野の会合施設で働き始めた。その時。何故か?手を離した。娘はその後。群馬に戻らなくなってしまった。ふじみ野の隣り街は川越市でした。都会化されていた。娘はその場所が気に入った。それも困りもの。連絡もしなくなった。アパートも値段が高いところに引っ越した。それでも娘の様子は真面目だから。あんまりお化粧もしないし。介護施設を行ったり来たりしているのだろう。と思った。母親が連絡を頻繁にしていた。だから尚更安心した。それでも気がかりになった。でも。アパートも教えない。職場も教えない。まったく。家族から逃げるように消えた。でも。何にも無いのは無事の印だと思って。なるべく考えないようにしていた。ただ。
里菜が就職で来たときは。里菜は大喜びしていた。あの時が里菜が一番綺麗だった。里菜は嬉しい時は。身体全体で喜びを表現した。だから。尚更。安心した。またあんな里菜にもうとうぶんのあいだ会えなくなることに。寂しさを感じた。でも。家から逃げるように出て行った。そのあとは。滅多に帰らない。里菜に会えなくなっていった。それからもう5年間経つ。娘は徐々に明るさをなくしていった。顔は。伏せるようになった。声はキンキンと激しさを増した。仕事が辛いからだろう。それでも。群馬県に戻らない。こっちからも会えない。どうしたら良いのかわからない。だから。警察署に相談にも行った。しかしながら。警察署はプライバシー侵害に当たるから。これ以上個人の問題には立ち入らない。と言われた。お爺さんと父親は呆然とした。ただ。僕は娘が目の前で不幸になるのを見ていられない。なんとかしてやりたい!!娘は。人生の失敗をあえてしていた。僕たち。目上の人達は再三この失敗をくり返えしていた。親の言うことを聞かない。それは。本人の自己判断かもしれない。でもそれは危ないよ。人生は危険に満ちている。だから父親やお爺さんの言うことも聞くことだと思う。それなのに。なんでもひとりでできると思っているが。まずはそれは無理だと思う。だからまだ。25歳なのだから。なんとか群馬に連れ帰りたい!できたら高崎市の病院に働いてもらいたい。その方がみんなが安心する。それが娘にはわからない。都会は。そんなに生きやすくない。都会は厳しい。都会はお金がないと何にもできない。今日はお爺さんと話をした。そしたら。里菜が嬉しそうにしていたから。良かった!!それだけ言った。それにしても娘は頑固でした。どうしてこんなに頑固なのかわからない。帰って来なさい!!と言うと。群馬はつまらない。何にもない。それは気持ちはわかる。突然に。群馬に戻れば。仲良しの友達からも離れて。人間関係がゼロになる。また一からやり直しするのが辛いと言う。それもわかる。最初から仕事はしないで数年間は遊んでいてもいいよとは言っている。
里菜には相手の彼がいるらしい。が。僕はそんなに期待してない。だって。里菜が気が弱くなっていた時に知り合ったから。それは。危ないよ!人間関係は切磋琢磨した時に出会う。最高の友達の中で出会うこと。そうしないと。相手が分からない。どんな友達がいて。その中でどんな立ち位置なのか?それを判断材料にすること。それなのにこっちにはスキがありすぎて。相手の思うままになるよ。いいクルマとか。見た目だけとか。弱さにつけ込まれたら。娘は簡単に落とせる。また。綺麗事が多すぎて怖い。筑波大学卒業だと言う。数ヶ月後は学習院大学という。それは愛子様裕仁様の学校だろう。そしてコンピューター関係だと言う。身綺麗なのも不快である。僕は。いつもワークマンのズボンやワークマンのコートを着ているから。また30代から40代の時も。UNIQLOしか着ない。だって。贅沢な服装している男性が僕自身が嫌いだから。服なんて汚いものを身につけている男性が僕は好き。


鎌倉に海水浴に行った。里菜が小学生でももかは幼稚園ぐらいだった。里菜は旅行が大好きでした。特に温泉に入るのが大好きでした。その日も鎌倉の材木座近くのホテルに泊まった。毎年同じホテルに泊まった。料理もおいしいし。それに会社の寮なので。家族的でした。里菜はもう小学生なのに。お風呂から飛び出して。食堂まで。裸で飛んできた。周りのお客様が驚いた。あれー?そんなことは気になれない。里菜は嬉しいと。裸で飛んで回った。また。連れて来てね!と繰り返した。


娘は親の言う事を聞かなくなった。僕は娘の部屋の前まで行きました。そしてドアを開けた。外は寒い風が強く吹いていた。里菜が元気そうでなにより。それも彼が一緒だから。有頂天になっていた。里菜の声でわかった。里菜があんなに嬉しそうな姿を見たのが一番嬉しかつた。だって。ずっとひとりぼっちだったのだから。部屋に彼が来てくれただけで。嬉しくって嬉しくって。まるでDr.スランプあられちゃんになっていた。慶ちゃんがきた!!と驚いていた。今までは。辛いのをじっと我慢していたから。そのはずみで。嬉しいのだろう!!周りは新婚さんなどの家族大勢で住んでいるアパートだから。尚更。ひとり暮らしは辛かっただろう。我慢しないで群馬に戻って来れば良かったのに。でも明るい部屋でカーテンも明るい黄色なのも。親としては嬉しい。