青年  森鴎外

慶一の家は、貧しく無い。それでも食べていけない。お盆様が近いからお墓の掃除をしてきた。草を毟る。砂利の中の草は、取りずらい。枯れた花を取り替えた。今年は、母親の新盆。たったひとりでお盆様の飾り付けもしていた。そのうちに夕立雲から雨が降り始めた。
昨日の夜は、前橋南パワーモール内蔦屋書店に行く。本棚の周囲にソファーが数台並んでいた。数人のお客様が座って本を読んでいた。新井慶一は、内面的な小説で。本人の意識だけで進行する小説が読みたくなる。
手当たり次第。持ってきた。その中でやっと。慶一のこころにヒットするものがありました。

 

あらすじです。
森鴎外の「青年」である。
主人公の名前は、小泉純一。出身地は、島根県津和野市。ほとんど山口県と同じ場所。明治時代のその当時は、政府関係者は山口県が大部分を占めていた。だからコネでなんとも出来た。しかしながら純一は、嫌った。コネなんか。そんなもの。ほんとうの人間関係とはいえない。と断る。サバサバした青年である、主人公の純一は、森鴎外である。18歳で東京に出てきた。実家は、津和野藩典医の家系。父親は、婿養子。森鴎外は、久々の男の子。幼い頃から。勉強ばかりしていた。なにしろ先生が話す言葉を全部。ノートに写していたとか。だから国語ならば。1年間に数冊もノートがあったとか。そんな頭脳明晰な青年が東京の上野駅近くの宿屋に到着した。青山の陸軍省でも見学しようかと思ったが。兵隊🪖の隊列を見ても仕方がないからとやめておく。その宿屋にいると。同郷の瀬戸が遊びに来た。瀬戸は、東京芸術大学。当時は、上野の美術学校と言った。瀬戸は、純一に授業を抜け出してきた。という。大丈夫ですか?と聞いた。そうすると。大学は、高校とは違う。少しぐらい平気だよ!今日は、モデルの女性が来ないから。デッサンが休講になったとか。瀬戸は、小説家志望だか。それほど才能があるようには、見えない。その瀬戸がもうすこし経つと。お金を貸してくれ!とか言ってくる。純一は、お金の貸し借りは、友情が無くなるから貸さない。ここも。カッコいい。ダラダラと貸したら。相手のためにもならない。ここら辺もスパッとしていて気持ちが良い。

原文からコピーしました。「僕はこれまで悪い経験をしている。君と僕との間には金銭上の関係を生ぜさせたくない。どうぞその事だけは已めてくれ給え」

そのうちに東京大学の先生だかと話す。純一は、我が家は、財産家である。お金に困らない!という。そうすると。東京大学の先生は、それは良いですね。しかしながら。お金に余裕があるのも。立身出世には、マイナスになることもあるよ!と忠告をします。純一は、そんなものか?と思う。毎日毎日。純一は、山のように本を読む。かなりの勉強家なんです。そのうちに。なんで俺は、東京に出てきたのか?さっぱりわからない。廻は、障子があり。机と畳がある。ちょっとだけ考える。ウンと唸り。これでは。島根県津和野市にいるのと変わらないだろう。来なければ良かったと思い始めます。日記でも書くか?と思案した。今日の天気は、晴れ。と書いた。そうしたら。天気が晴れならば。明日も晴れと書く。天気ばかり書いても無駄だと悟る。ひとりっ子なので。郷里のお婆さんから3日事に手紙が来た。身体に気をつけてね!と書いてありました。森鴎外の読書力は、奇跡かと思うぐらい高い。なにしろ。フロオベル、モオパッサンの原書をスラスラ読んでいた。瀬戸は、小泉純一を。まるで。100年前から東京に住んでいるようだね。と言った。そしたら。純一は、100年前には、東京は無かった。と言い返す。瀬戸は、小泉純一を文学関連の座談会に参加させて貰う事になる。だいいち。東京見学に浅草公園とか上野美術館は、つまらんから。街並みは、薄汚いく。道ばたは、埃が舞い上がり。クルマも走っていた。瀬戸は、値段は、高級車で一台一万円もする。安くても6千円。とか話しながら歩いた。瀬戸は、いくら絵を書いても一生。クルマは、買えない。という。そこは汚い居酒屋風の二階屋でした。大柄の娘さんがふんどしを膝まで垂らしていた。ふんどしは、灰色である。一階には。下駄や草履がごちゃごちゃしていた。二階に上がると。大勢の袴姿に黒い肩掛けをかけた男性が座布団の上に並んで座っていた。小泉純一は、神妙に話しを聴いていた。ある男性が発言した。芸術家は、ライフ(生活)とアート(芸術)を同じにして行くべきである。と演説していた。小泉純一は、当たり前のことを大声で話す人だと軽蔑した。そのうちに饅頭が配られる。一階の褌を膝まで垂らした女性でした。なんで女性が褌をしているのだろうか?そのうち座が盛り上がり。純一は、茶碗をひっくり返してしまった。素早く。懐中からハンカチを取り出して拭いた。そのハンカチは、銀座三越で購入した舶来品でした。そのハンカチを見て。周りのある男性を驚かせた。ある男性とは。東京大学医学部の学生で。名前は、大村荘之助と言った。君の様子を見ていた。とか。言います。大村は、身体がデカイ。純一に優しい微笑を送った。純一は、頼もしく感じた。小川町と須田町から。夕べの昌平橋は雑沓していた。内神田も出てくる。大村と純一は、一緒に歩いて帰った。あたりは、ライトが点いて明るくなる。周りには。雑踏がまるで影のように行き過ぎた。二人は、哲学の話しをした。「哲学は、理論が構築されると。すぐに壊される。また新たに哲学の理論が構築される。この繰り返しに過ぎない。だから永遠の安住。または、永遠の懐疑だと思う。」と純一は、大村に話した。大村は、田舎から来たばかりの青年でも。これだけのことを考えられる事に驚きを隠せない。大村は、純一との別れ際に。「瀬戸だけは、気をつけなさい!」と言った。純一は、わかりました。という。

 


純一は、数寄屋橋まで電車に乗り。有楽座にイプセンの演劇を観に行く。真っ赤な椅子には、女性が並んで座っていた。純一は、普段から本や雑誌で雰囲気だけは、知っていた。だからそれほど感動もしませんでした。そこで。坂井夫人に会う。やはり同じ山口県生まれらしい。旦那さんに死なれて。未亡人である。若い娘さんも二人組でいました。坂井夫人の旦那さんは、東京大学で法学部教授をしながら。学問は、多岐に渡っていた。フランス文学の翻訳もしていた。坂井夫人は、我が家には。モリエールイプセンの全集がありますから。たまには。家に遊びに来てください!と言われた。純一は、女性と話すことが苦手だと思っていた。何故か。坂井夫人とは、スラスラと話しができた。その場で名刺交換をした。幕間に食堂まで歩いていると。大村壮之助で出会う。「やあ。よく会うね!」と言われた。

小泉純一のアパートに大村が訪ねてきた。講義が午前と午後休みになる。どこか散歩に行こうと言う。純一は、着物に袴を履いた。二人は、谷中から歩いた。日暮里の天王子前から。上野動物園前を通り。上野東照宮まで歩く。お昼は、上野精養軒に入った。二人とも。お金がありますね。高級なレストランでランチを食べていました。そこで純一は、大村に。男性の貞操を守るべきかどうか?質問してみました。大村は、男性の貞操は、守りづらい。女性の方が。守りやすいだろう。と言った。そのあと。男性も無理して貞操を守る必要がないが。それでも。保つべきだと思う。と言った。純一の考えはやや違う。周りのしきたりに従うよりも。もっと開放的にする方が良いと思うと言った。暗に坂井夫人の事を念頭において言っているのだろう。
二人は、上野駅にきました。その時。駅のホームに50代の女性が話をしていた。その女性から。二人は、男女の話しが出た。「男性には、女性的な要素があり。また女性にも男性的な要素があるだよ!それによって。男のような女性がいたり。女のような男性がいる。」と現代のLGBT性的少数派の話しが出た。純一は、もしかして女性的な要素が多い男性かもしれないと思った。二人は、列車に乗った。外の景色は、田んぼがあり。畔道を人力車が走っていた。王子を過ぎて。赤羽駅が近づいた。二人は、大宮駅で降りた。氷川神社まで散策した。女性論の話しをしてました。女性には、母親的なところと娼婦的なところの二つしかない。という。茶屋から声をかけらたので。すぐに曲がったら。小屋から三味線の音が聞こえてきた。あまりに卑猥な言葉なので。すぐに離れた。神社の東側の沼のほとりに出た。そこの掛茶屋の腰掛けに二人が座った。小説の方は、どうですか?と聞かれた。純一は、泣かず飛ばずです。と答えた。大村は、
「なんでも書いて見ること。そうすれば。読んでくれる人が必ずいるから。また。何かの党派に入る必要もない。党派に入る。とか入らないとか。それは、問題では、ない。小説は、博打のようなものだから。とりあえずは、賽を投げてみたらどうか?」と言われます。そしたら。夕方の5時になるから。また上がりの列車で上野駅に戻った。

 

この先は、まだ読んでません。また書きます?

 

 

 

 


小泉純一こと森鴎外は、坂井夫人の家に行きました。ラシーヌの本を返しに行く。これが3回目になる。最初は。有楽座のイプセンの演劇で。2回目は。根岸の坂井夫人に家に。本を借りに行った。これが3回目になる。坂井夫人は未亡人である。年齢もひとまわりぐらい上である。小泉純一は、上野の山を彷徨って。また。夕方から夜にかけての時間に坂井夫人の家を訪れた。そしたら坂井夫人は、箱根の福住という場所にひとりで行きます。もしよかったら。いっしょに行きませんか?と誘われた。小泉純一は、どうしようかと思ったが。誘惑に勝てなかった。帰り際に。小泉純一は、坂井夫人に。行きます。よろしくお願いしますと。一瞥を与えた。

森鴎外こと。小泉純一が坂井れいこ夫人宅を最初に訪問すると。夫人は派手な着物を着て現れた。ワイン🍷を飲みながら。まるで妖艶な女性として現れます。ここは。
この時。新井慶一は、読み間違えた。が。此処は。この小説のクライマックスでもありました。それくらい。魅力的な箇所でしたね。まさか。なんとなく。意味深な感じには感じた。
なんとこの時に。鴎外先生は童貞を失っていたんです。読み過ごしてしまった。それにしても。小泉純一こと森鴎外先生は、積極的ですね。たった一度。有楽町の演劇で偶然に隣り合わせになった女性と。その時に。わたしの家に遊びにおいで!と誘われます。亡くなった主人がたくさんの本を買って持っているの⁉︎と言われた。小泉純一は。誘われるままに。根岸の家に訪問してしまう。その時。滞在時間が2時間あまり。長いなぁと思ったけど。


しかし己は知らざる人であったのが、今日知る人になったのである

現代語訳。

僕は少年でしたが、今日はもう大人になりました。

 

その時に深い関係になっていました。相手は人妻で未亡人。それが分かると。そのあとが分かる。正直言って。突然に箱根湯本の福住旅館が出てきた時は、訥々だと思った。ちょっとだけ無理があると思った。でも深い関係になっていたのならば。それもありかと思った。
小泉純一こと森鴎外先生は、その後。上野公園を彷徨い。遠く吉原の灯に。引きつけられたりする。そして。もう一度行こうか?行くまいかと。悩みます。その逡巡が良いと思った。恋愛でなく。アバンチュールなんです。女性を攻略する。騎士道精神の話しなんです。だから迷ってばかりいる。行かなければ行けない。意気地なしに思われる。そんな弱気でどうすると悩みます。
後半になると。小泉純一は、ソリチュード( 孤独)になる。12月31日。小泉純一は、突然ですが。箱根湯本柏屋旅館に行きます。それは箱根湯本福住旅館の近くの旅館でした。
ここまで読み続けてみて。新井慶一は、青年という小説が好きになった。
池澤夏樹さんは。明治時代の代表作に

樋口一葉の『たけくらべ
夏目漱石の『三四郎
森鴎外の『青年』